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ブラウザ上で効果音を作れるツールjfxrの紹介

 この記事はWWA Advent Calendar 2024の21日目です。

前書き

 WWA用の効果音、自作してますか?
 まあ、普通は余所から借りてくるものだと思います。
 でも、効果音って作ってる人が少ないので探すのがまあまあ面倒なんですよね。思った通りの音に出会えるとも限りません。
『自分で作れる音なら自分で作った方が速いことが多い』、池田哲次はそんな結論に至りました。

 池田哲次は効果音を作ろうと決意するよりも前にBGMを作ろうと決意していたので、音楽制作用の環境で効果音も作っています。
 が、その環境構築は複数のソフトをダウンロードする必要があって手間がかかります。
 今回は手短に済ませたいと思いますので、ブラウザ上で効果音を作れるサイトであるjfxrを使っていきたいと思います。

初心者向け:プリセットでガチャを行う

 左の方にあるプリセットから効果音を生成できます。
 ある程度名前に沿った雰囲気の効果音がランダム生成されるので、それだけでもうオリジナル効果音ができます。
「Export」ボタンをクリックするとwavファイルとして保存できるのでWWAで使えます。

 ガチャを便利にするシステムの紹介もします。
「Create new sound」はラジオボタンになっていて、これをオンにした状態だとプリセットも新規生成されます。
「これ良い感じなんだけど、他のも聞きたいな」というときはこのボタンをオンにして新しい音を新規生成しましょう。

ずらずらと並ぶプリセット

「これ方向性は合ってるんだけど微妙に違うんだよな」というときは「Mutate」を使いましょう。
 パラメーターが全体的にちょっと変わります。
 気に食わなかった場合は「Undo」で変更前に戻します。
「これ良い感じなんだけどちょっと違うのも聞きたい」という場合はあらかじめ上部の「Dup」でプリセットを複製しておくと良いでしょう。

 一応これである程度の効果音は作れると思うんですが1個問題があって、プリセットの大半が機械音です。
 音程が露骨にあるプリセットがほとんどで、いかにもレトロゲームっぽい形而上の音ばかりです。
 自然音は「Explosion(爆発音)」か、あるいは「Hit(打撃) / hurt(傷つける)」でもノイズ寄りの音が出ることがあるという感じ。
 まあ、現実に存在する音であれば普通に録音したほうが速いのでわざわざこんなツール使わなくて良いってのも一理あるんですが……

中級者向け:ちょっとパラメーターをいじる

 プリセットじゃ作りにくい音を作りたいし、録音できない音を作りたいという人も多いでしょう。
 そもそも自分がこのツール知った際は「斬撃音が作りたいけど作り方わかんなくて……」という言葉とセットでした。
 爆発音と斬撃音は割と方向性が近いので、爆発音のプリセットを押したら出てきたこの音をいじって斬撃音を作っていきましょう。
(jfxrは「Link」ボタンをクリックすることで現在のパラメーターをURLとして出力できます。今回みたいにカジュアルにプリセットを共有したいときに便利です)

 その人の流儀にも依ると思いますが、自分はTONE→AMPLITUDE→PITCH→FILTERS→OUTPUTの順に触っていくことが多いです。
 シンセサイザー慣れしている人であればだいたいこの順番だと思います。

 というわけでまずTONEをいじります。ベースとなる波形を選ぶセクションです。
 初心者は「Waveform」と「Interpolate noise」の2点だけ見ていればよいでしょう。
 自然界に存在する音を作成するのであれば、3種類のノイズのどれかから選びます。
 Whiteが最も高音成分が多く、Pink、Brownの順に高音成分が減っていきます。高音成分が多いと耳に刺さりやすいです。
 斬撃音であれば風切り音が含まれるので結構耳に刺さる音ですね。Whiteのままにしておきます。
「Interpolate noise」は3種類のノイズのどれかを選んだときだけ有効化されるパラメーターで、チェックを入れたほうが角が取れて自然音っぽいです。チェック入れておきます。

 次はAMPLITUDEをいじります。音量の上がり下がりを調整するセクションです。
 爆発音が斬撃音に聞こえない要因のほぼ全てがこのセクションに詰まっています。
「Attack」が音の立ち上がりの速さです。斬撃音であればほぼ一瞬なので0sでもいいんですけど、0sのままだとノイズが乗りがちなので0.005sにしておきます。
「Sustain」は最大音量の長さです。これは0sでも良いんですけど、斬りつけている対象物とぶつかっている時間と見做して0.1sくらいにしておきます。
「Sustain punch」は最大音量からの音量下降率です。いくら刃と対象物がぶつかっているとはいえずっと同じ音量ってことはないでしょうし、70%ぐらい付けておきます。
「Decay」は最大音量から音量0に戻るまでの余韻の長さです。これも斬撃音であればほぼ一瞬なので0sでもいいんですけど、0sのままだとノイズが乗りがちなのでちょっと長めに0.05sにしておきます。
「Tremolo depth」は音量を揺らす周期です。サイレンとかならともかく、斬撃音なら0%でいいです。
 もうここまでの操作でも十分に斬撃っぽい音になっているはずです。  音量の調整ってこのぐらい印象変わるんですね。
(余談ですが、jfxrの「Decay」に相当するパラメーターは一般的なシンセサイザーでは「Release」とされることが多いです。一般的なシンセサイザーにも「Decay」は存在しますが、大抵はAttackからSustainの間の音量減少の長さを変更するパラメーターになります。jfxrに慣れすぎると他のソフトで困惑するかも)

 次はPITCHですね。音程を調整するセクションです。
 jfxrってノイズだろうが音程調節反映されるんですよね。なんで?
「Frequency」はベースの音程です。最初の7100Hzだと高すぎる気がしたので6500Hzまで落とします。
「Frequency sweep」及び「Freq. delta sweep」は継続的な音程変化です。普通のsweepが直線的な変化で、delta sweepが曲線的な変化。
 音程を低音に振ると頭の上から腹まで落ちてくる感覚を味わえるので、ダメージを受けるような音はそれなりにマイナスに設定しておくと良いです。
 今回はどっちもマイナスになってるし良い感じだったのでそのままにしておきます。
 他のパラメーターは今回設定されていないし、今回使う必要がないし、説明も長くなるので省略。

 次はFILTERSです。倍音を調整するセクションです。
 高音成分が多いと耳に刺さり、低音だと腹に来る、そんな説明がここまでに混入していたと思いますが、これを追加で調整できます。
 最初から低音が多いのが気になったので、最初は低音少なめにして少しずつ低音が増えていく感じにして上から下に切り裂かれた感じを出そうと思います。
「High-pass cutoff」を上げていくと低音が削れます。これを6000Hzに設定して低音どころか中音域までごっそり削ります。
 なんか直感に反しますけど、Low(低音)を削ってHigh(高音)を通すからHigh-passなんですね。分かりづらい。
 そうしたら、「High-pass sweep」をガン下げします。「High-pass cutoff」に設定した値から「High-pass sweep」までじわじわと音が変化していくようになります。  今回はどんどん低音が増えていくような動きにしたかったのでこんな感じにしました。
「Low-pass cutoff」を使うと今度は高音の増減をいじれるんですが、今回は不要だと判断したので次に行きます。

 最後はOUTPUTです。最終的な音量感を調整するセクションです。
 基本的に「Compression」だけを触ります。マイナスにするほど音圧が上がります。普通逆だろ。
 今回は0.6にしてちょっと音圧を上げました。あんまり上げすぎるとAMPLITUDEでの設定が潰れるので程々にしておきましょう。

 というわけで完成品がこちらになります
 パラメーターを残しておきたいという場合は「Save」で.jfxrファイルが保存できるのでそれを使いましょう。読み込むときは「Open」から読み込みましょう。

 というわけでjfxrの紹介は以上です。
 全パラメーター紹介するつもりだったけど時間がないので機会があればまた今度(たぶんない)。

 WWA Advent Calendar 2024、明日はTe(いぬ26)さんの「ランダムダンジョンの攻略方法/制作の考察」です。